『こつこつ、オムレツ』は太田 忠司による日本の小説(ライトノベル)作品。
製菓専門学校在学中に若手パティシエの登竜門であるコンテストに入賞、 就職した老舗ホテルでも注目を集めるなど、前途洋々だった田城陶子。 だがパワハラ疑惑のあるカリスマシェフに叱責されたのと時を同じくして、 ポシェ(絞り袋)が扱えなくなる。 ついた診断名は、局所性ジストニア。 イップスとも呼ばれ、ある特定の動作ができなくなる運動障害だ。 人生を賭してきたお菓子作りができなくなった陶子に、 知人のライター・小瀬が、「思い出のオムレツ」について 聞き取る取材に付き合わないかと声をかけてきた。 病で引退したオーナーから受け継いだ街の洋食屋のプレーンオムレツに、 高校時代の恩師が教えてくれたスパニッシュオムレツ、 隠し味が秘密の亡き祖母のふわふわオムレツ…… さまざまな人生模様と彼らを変えた味の記憶を辿る中で、 止まっていた陶子の時間は少しずつ動き出すーー。 働き始めたばかりの若者の葛藤と成長を繊細に描く、 心に沁みる希望と再生の物語。 ■著者プロフィール 太田忠司(おおた・ただし) 1959年愛知県生まれ。81年に「帰郷」で「星新一ショートショート・コンテスト」優秀作を受賞。 90年、長編ミステリー『僕の殺人』で作家デビュー。2004年、『黄金蝶ひとり』でうつのみやこども賞受賞。 17年、『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』で日本ど真ん中書店大賞小説部門3位。 他の著書に、グルメミステリー「ミステリなふたり」シリーズの他、『奇談蒐集家』『レッドクラブ・マーダーミステリー』など多数。 本書は、和菓子の道を志す職人の卵を描いた『ぐるぐる、和菓子』の姉妹編。