人間動物園(にんげんどうぶつえん、英: human zoo、「民族学的展示」「人間の展示」ともいう)とは、19世紀から20世紀にかけて行われた、社会進化論や人種差別、進化主義、植民地主義に根ざした、野蛮・未開とされた人間の文化・生態展示のことである。実際のパビリオン自体の名称として黒人村とされている例もあるが、必ずしもアフリカ系の黒人が対象となるわけではない。
チャールズ・ダーウィンの進化論が社会に受け入れられると、人間の社会に進化の段階性を見出す人々が現れるようになった。西欧近代社会を進化の頂点とみなす、この社会進化論はあらゆる人類が同じ発展をすると考える単一的発展史観(進化主義)を取るために、アジアやアフリカの諸民族の社会を「遅れた」「劣った」社会とみなした。そうした中、植民地の諸民族の文化と西欧文明との差異を観察し、帝国主義や植民地経営を正当化するための装置として機能したのが人間動物園である。各地の博覧会で余興として、または植民地経営を誇るものとして行われ人気を博した。