『遠巷説百物語』(とおくのこうせつひゃくものがたり)は、角川書店から刊行されている京極夏彦の妖怪時代小説集。「巷説百物語シリーズ」の第6作目。2018年より角川書店が発行する妖怪マガジン『怪と幽』vol.001より作品の連載が開始され、2020年のvol.006まで連載されたものを収録している。『虚実妖怪百物語』の連載を挟んで『西巷説百物語』から11年ぶりに刊行された。第56回吉川英治文学賞受賞作。
舞台を江戸末期の遠野へと移し、盛岡藩筆頭家老の密命で巷に流れる噂話を調べる宇夫方祥五郎を主人公に物語が展開する。各話とも4章構成で、世間話の骨子が磨かれて語り物の昔話が完成するという通常の流れとは逆に、「昔話を元の世間話に戻す」という仕組みが根底にあり、「譚」=昔話、「咄」=巷の噂、「噺」=事件の当事者の話、「話」=最後にそれを解体する仕掛けという構成になっている。