『さざなみの国』(さざなみのくに)は、勝山海百合の長編ファンタジー小説。第23回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。
名もない湖のほとりにあるむらは、滅びの危機に瀕していた。少年さざなみは、伯父の助言に従い、父の家を頼って旅に出る。たどり着いた父の家に引き取られ、むらの湖を再生させる方法を探しながら、許嫁の桑折や欧相岩といった人々と知りあう。やがてさざなみは遊馬城で働くことになるが、そこで、旅の途中に出会った王女甘橘との再会を果たす。甘橘は異民族の国である囂国(ごうこく)の王子との縁談が決まったが、婚礼が迫った頃、死の病に侵されてしまう。甘橘の主治医は、青い舌の民の生き肝が万病に効くという話を思い出し、国中を探させるが、実はさざなみは青い舌の民のただ一人の生き残りだった。事情を知ったさざなみは国のために死ぬことを選び、甘橘の婚礼は無事に執り行われた。さざなみの死後、桑折は、かつてさざなみと旅をした崔と共に湖のむらを訪れるが、住む人がいなくなった地には朽ちた家屋だけが残され、湖は枯れていた。