『サイレント・ブレス』は、日本の小説家南杏子による日本の長編推理小説。現役医師である著者のデビュー作として幻冬舎からの書き下ろしで2016年9月8日に刊行、『サイレント・ブレス 看取りのカルテ』(サイレント ブレス みとりのカルテ)と改題し幻冬舎文庫より文庫化された。大学病院から終末期の患者専門の訪問診療クリニックに左遷された女性医師が、死を待つのみの患者たちと向き合い無力感に苛まれつつ、終末期医療の大切さに目覚める姿を連作形式でミステリを交えて描き、現代の終末期医療の在り方について問う。
新宿医科大学病院の総合診療科で10年間勤務してきた水戸倫子は、ある日、「むさし訪問クリニック」という、在宅で最期を迎える患者を専門としている診療所への異動を言い渡される。三鷹駅の近くにあるその診療所に在籍して働き始めた倫子は、初めのうちは、余命いくばくもない患者たちと向き合うことの無力感に苛まれていた。