『半熟卵のエンジン』は歩 祐作による日本の小説(ライトノベル)作品。イラスト担当はふみふみこ。「講談社BOX」(講談社)から発売。
大学受験を控えて勉強に追い詰められた「おれ」のささやかな楽しみは、普段は喧嘩ばかりしている姉ちゃんが作ってくれる、美味しい夜食だった。どんぶりにのってふるふると揺れる半熟卵は、未来を予感してふかす、僕のエンジンのようで......。表題作「半熟卵のエンジン」ほか、だれかに話すほどでもない、でも、自分にとっては大切だった場所、記憶。青春時代の、触れたら壊れてしまいそうなエピソードを丁寧に切り取った短編集。【収録作品】「うつせみ」:学校に馴染めない僕の避難場所。それは屋上にある、掃除用具を入れるロッカーの中だった。しかしある朝その現場を思いがけない人物に見つかってしまい――。「笑い猫キック」:公園にある、にやにや笑いの猫の置物に真剣勝負を挑む女子高生の私と、おませな小学生・オトヒコくんとの日々。「夕陽のすみで待っていた」:誰も使っていない教室の机に書いた落書きから、不思議な文通がはじまって......。「鈴どろぼうと金の秋」:お調子者のクラスメイトから、「毎週金曜日だけ付き合ってほしい」という謎の告白を受けた私は、彼に協力することにして――。「半熟卵のエンジン」:大学受験を控えた「おれ」に、ある晩から姉ちゃんが、夜食をつくってくれるようになって――。