『ふしぎ遊戯 玄武開伝』(ふしぎゆうぎ げんぶかいでん)は渡瀬悠宇による少女漫画作品。『少女コミック増刊』にて連載をスタートしたものの、数々の掲載誌変更を経て、最終的には『増刊フラワーズ』に連載され完結する。コミックス全12巻。略称は『玄武』または『玄武編』。2015年11月時点で全シリーズの累計発行部数は2000万部を突破している。
時は大正12年。17歳の女学生―奥田 多喜子(おくだ たきこ)は、母―美江(よしえ)の結核療養の為、東京から美江の実家の岩手県盛岡市に越して来ていた。好奇の目や嫉みを向ける地元の人々にも負けない快活な彼女であるが、仕事一筋で自分達母娘を顧みない小説家の父―永之介(えいのすけ)を嫌っている。そんな永之介がとうとう支那(現代の中国)での取材を終え、経典―四神天地之書の資料を携えて帰宅した。余命幾許もない美江の看病どころか、日本語訳版の執筆にがむしゃらな永之介に嫌気が差す多喜子だったが、程なくして美江が他界。悲しみのあまりに多喜子は、見舞いに訪れていた幼い頃からの想い人―大杉 高雄(おおすぎ たかお)に思いを打ち明けるが妻子持ちの大杉に受け入れられる筈もなく、直後の永之介との口論の末に零されたのは『お前が息子だったら…』という残酷な一言だった。自棄になった多喜子は、永之介から取り上げた完成したての四神天地書を破り捨てようとするものの、突然の銀色の閃光に包まれ、本だけを残して姿を消してしまう。