キミが誘う境界線

『気ニ入ランガ...ヤムヲエン...コノ子ヲ、護レ...』巨大な九十九神から、刀を抱いて眠る少女ヨミを託され、ジンは猛烈に後悔していた。いやいやながらも久々に現場に連れてこられてみれば、倒すべき相手から厄介ごとを押しつけられたのである。しかも、これはなかなかにヤバイ-。直感がそう告げていたが、見捨てるという選択肢は最初に却下した。それが、ジンのその後の人生を大きく変えることになるとはしらず...。ヨミの持つ刀を狙い、最凶の人斬り集団"斯界の剣轟"が迫る。異能と超科学が交差する、ソードファンタジー開幕。

「ご明察通り、毎度おなじみの七剣八刀でぇす!通り名は『一刀両断』。この世にぼくに斬れないものはないんで、ヨロシク!」ふざけた敬礼を送る男、一刀両断こと斬竜斬雨。彼は、ジンの背後に隠れたヨミが「鉄舟の娘」を名乗るのを聞き、首を傾げた。「4年前、ぼくが作った異空間に入ったのは鉄舟ひとりだったよ。誰も入れない空間なのに、キミは、いつどうやって入ったの?」-本部の魔手を逃れたジンたちが、ヨミの生家の前で出遭った七剣八刀のひとり。男はヨミが目を逸らしていた出生の謎を斬った。アイデンティティと生命の危機に立つヨミを必死に護るジンだが、なんと兄を偏愛するジンの妹-冥王・レイまでもが現れて!?-。