『ハル遠カラジ』は遍 柳一による日本の小説(ライトノベル)作品。イラスト担当は白味噌。「ガガガ文庫」(小学館)から発売。最新刊は4巻
たとえそれが、人でなかったとしても。 これでも私は、身のほどはわきまえているつもりである。武器修理ロボットとして、この世に産まれた命。本来であればその機能を駆使して人間に貢献することが、機械知性の本懐とも言えるだろう。しかし、どうもおかしい。人類のほとんどが消え去った地上。主人であるハルとの、二人きりの旅路。自由奔放な彼女から指示されるのは武器修理のみに留まらず、料理に洗濯と雑務ばかり。「やるじゃねえか、テスタ。今日からメイドロボに転職だな」全く、笑えない冗談である。しかしそれでも、ハルは大切な主人であることに違いはない。残された時を彼女のために捧げることが、私の本望なのである。AIMD――論理的自己矛盾から生じる、人工知能の機能障害私の体を蝕む、病の名である。それは時間と共に知性を侵食し、いつか再起動すらも叶わぬ完全停止状態に陥るという、人工知能特有の、死に至る病。命は決して、永遠ではないから。だから、ハル。せめて、最後のその時まで、あなたとともに――。第11回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞を受賞した『平浦ファミリズム』の遍柳一がおくる、少しだけ未来の地球の、機械と、人と、命の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 第11回小学館ライトノベル大賞にて3年ぶりの大賞受賞作となり、新人離れしたテーマ性と感動的な物語が話題を呼んだ『平浦ファミリズム』。その著者、遍柳一氏が満を持して世に送り出す新作です!人類のほとんどが消え失せて荒廃した地球を旅する死期の迫る軍事用ロボットのテスタと、人間に見捨てられた少女ハル。機械と人との関係性を越えて絆を深めていく彼らの姿に、心が震えます。
新たな事実――人類消失を予見していた者 機械の精神を蝕む病、AIMD。その奇病を専門とする医工師を求め、テスタたちは冬のチベットを訪れていた。 有限の命を自覚し、改めてハルの母親として、娘に向き合う決意をしたテスタ。だが、ハルが一人前の大人になるには知識も道徳も不十分であり、友だちになると約束したイリナとの関係も、いまだにこれといった進展は見られない。 それでもハルの中には着実に人間社会に対する好奇心が芽生えているようで、「イリナができるのに、あたしができないのはいやだ」と、自ら勉学を教えてほしいと志願してくる。普通の人生を歩めなかった娘のために、テスタはハルの勉学に喜んで付き合い、さらには一種の社会見学になればという想いから、旅先の難民街でチベットの廃校を訪れる。 しかし、テスタはそこで奇妙な手紙を見つける。『贖えない罪を犯してなお、この世界に生きる意味はあるのだろうか』遺書ともとれるその一文とともに綴られていたのは、手紙を書いた者が、十一年前の人類消失を予見していたという事実だった。やがて、かつてこの地で起きた悲劇を知った時、テスタは、思いがけぬ人物との邂逅を果たすこととなる。
▼ 情報(Information) |
著者 | : | 遍 柳一 | イラスト | : | 白味噌 | 出版 | : | 小学館 | レーベル | : | ガガガ文庫 | 刊行期間 | : | 2018年06月19日(1巻発売) | ISBN(1巻) | : | 9784094517378 | ISBN(4巻) | : | 9784094518740 | 最新刊 | : | 4巻 |
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