『レインツリーの国』(レインツリーのくに)は、有川浩の小説。2006年9月出版の『図書館内乱』(アスキー・メディアワークス)の中の1エピソード(作中作として登場する架空の小説)として書いた後に、改めて書き下ろした恋愛小説で、2006年9月29日に新潮社から単行本が刊行された。2009年7月1日には新潮文庫版が発刊された。2015年9月24日には角川文庫からも文庫本が発売される。
自分が好きな小説の感想を書いているウェブサイトを探していた男性が、共感する感想をブログで見つけ、そのサイトの管理人であり難聴を抱える女性と交流を重ねていく。彼は次第にその女性の文章に惹かれ、直接会ってみたいと思い始める。そして彼は実際に会うのだが、そこで彼はその女性は難聴者だったと知り、その障害を知らずに彼女を傷つけてしまうような発言をしてしまったことを大きく悔やむ。優しさを滲ませる彼は、その後もネット上という細い糸をたぐって彼女と交流を続ける。彼と彼女は、その後も関係性を深めていくが、その過程で、障害者と、それを取り巻く世界を描き、それでいて大人の恋を巧みに描く長編である。