『樹木葬-死者の代弁者-』は江波光則による日本の小説(ライトノベル)作品。イラスト担当はくまおり純。「ガガガ文庫」(小学館)から発売。
人を殺すこと、それは自分を殺すこと。 『鳥葬』『密葬』の舞台から数年。時間がすぎても彼を取り巻く死の呪縛は簡単には剥がれなかった。高校を卒業し。大学に通う傍らで始めた自動車整備工の仕事。平穏な日々を過ごそうしている陵司の下に、雇ってもらった工場の社長の娘の面倒をみるという題目が転がり込む。彼女の父親は、日々死を暗示させるポエムをネット上に流す、理解の範疇を越えた娘の心境を理解したがっていた。死にたがる高校生。死を軽んじる高校生。そして、死への願望をポエムにしたため、自殺を美徳とするような高校生。陵司からしてみれば、彼らの願望そのものがガキの戯言。しかし、ある日彼は、いじめが原因で首を吊ろうとする少年に出会う。何の因果か、彼のことを助けてしまった陵司は、いらぬお節介のせいで厄介なもめ事に巻き込まれる。かつて自分が犯した罪や、そのおかげで積み重ねてきた経験を活かしながら、社会の荒波を受け流していく。余りにも都合よく陵司の周りに集まる死。その原因を探るため、陵司は再び立ち上がる。――彼らを人間にしてやるためには......。果たして陵司の生きざまに救いはあるのか......。暗黒青春群像劇・完結編。数多の死を乗り越え、彼はようやく人間になった。