『努力家の先輩に『恋人の練習』をさせていたら、天才の私だけが本気になってしまった話』は空洞 ユキによる日本の小説(ライトノベル)作品。イラスト担当はみすみ。「MF文庫J」(KADOKAWA)から発売。
「ファーストキスを、舞台に捧げてはいけないよ」 天才女優と称されるわたし・氷上沙凪は、高校に通い始めた。高校とは、青春だ。台詞以外で口にしたことのないその言葉は、濁音を含んでいないのに舌がざらつくような不快な感じがする。だから、一人の放課後に突然押しかけてきた演劇部部長・日野朱莉に演技指導することも、乗り気ではなかった。 日野朱莉、先輩。脳裏にちらつく黒髪。犬の尻尾を幻視するようなポニーテール。一生懸命演技をすれば、必ず観客に届くと信じている無垢さ。日常に不慣れなわたしを見守る表情に触れ合った時に香る、制汗剤の匂いまで。先輩は、不快だった。不快だった、はずなのに。